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「マーケティングではテレビCMの影響力はまだ大きい」電通マンと外資系メーカーのマーケターによるマーケティング対談(後編)

中編では、広告代理店と事業会社の間の関係について対談していただいた。
第3弾となる後編では、電通や外資メーカー転職や新たなマーケティングの手段に対する考え方や、マーケティングに興味を持つ方へのメッセージを語っていただく。3回にわたってお届けする対談の最終回だ。

中編はこちらから。

プロフィール

sym

外資系企業でマーケティングに従事。外資系、日系ともにマーケティングの経験がある。

yuuu

新卒から電通に勤務。電通の赤裸々な様子をtwitterで発信している。また、業務の傍ら、就活支援を行っている。
ブログ:https://www.ad-career28.com/

広告代理店では部署内のコミュニケーションも重要

sym:広告代理店は飲み会も大変なんでしょうか。

 

yuuu:ほかの会社より飲み会の仕切りは見られているでしょうね。
店選びは適切か、グラスが空くまでに注げているか、二次会は確保しているか、席配置は正しいか、最後まで相手に付き合ったか、次の日の朝にお礼に行ったか等々、語りつくせないほど見られるポイントはございます。
飲み会の激しさについては部署によりけりです。
例えばビール系のクライアント担当の部署は飲酒量もかなり多いイメージです。


ただ、飲めない人にまで飲ます、ということは決してありませんし、あくまで飲むのはコミュニケーションツールであって、別の部分で盛り上げられれば問題ございません。

事業会社が広告代理店を激務にさせている

yuuu:話が変わって恐縮ですが、飲むという話だと、付き合いの長い企業だと、提案された条件を「飲む」ことがあります。

 過去からの付き合いの長いところとは、クライアントのいいなりになりがちで、価格を安くしたり、サービスを多くしてくれ、などと要求されたりするので、どうしても利益が少なくなってしまいます。
付き合いが長いところほど、無理な条件を突きつけてきて、その結果モンスタークライアントが誕生してしまいます。

私から言わせると、条件を突きつけられても、うまくやりかえす営業担当者が優秀だと思います。
私が働いていたときも、うまく対応している人は、利益を削ることなく、会社を守っていました。


sym:事業会社側が広告代理店を激務にしている節はありますね。
自分たちの中に判断基準が無く、感覚だけでマーケティングをやっているので、ひたすら広告代理店に無理させて案を出させ続けるみたいな。


yuuu:メディアの業務で言うと、スポットのバイイングでも、クライアントの偉い人が人気番組のイッテQを線引き(その番組内もしくは前後でCMを流すこと)しないと文句言ってくるとか、無茶を突きつけてきますね。
イッテQなんてなかなか線引きできませんからね。

また、通称オーディットといわれるメディアコンサルを入れているところは、価格の交渉をしてきますね。
代理店をコンペさせて、利益を削らせてくるみたいことでまた激務につながっていく、みたいなことはあります。

事業会社から広告代理店への転職は少ない

sym:転職の話ですが、なぜ広告代理店から事業会社の流れは聞きますが、なぜ逆はほとんどないのでしょうか。


yuuu:電通からだとあまり事業会社に行く人も思っているより少ないですよ。
デジタルが弱いので、サイバーエージェントのようなデジタル系の会社から電通に転職してくることはあります。

また転職先だと、電通からグーグルに転職するのはありますね。
同業だと、博報堂やADKから優秀な人をヘッドハントしてくることはあります。
コンペであの人優秀だなと思う人を引っ張ってきます。

事業会社から広告代理店への転職が少ない要因で考えられるのは、媒体社とクライアントの要望の矛盾の調整役を広告代理店は行いますが、こうした調整は大変だからではないでしょうか。
大変さを考えると、事業会社の方が精神的に楽なのかなと思います。
広告代理店に向いている人は、泥臭くてしんどいけど、自分のかかわったことが世の中に広がってうれしいみたいなことができる人ですね。

広告代理店、事業会社それぞれにとっての優秀な顧客

sym:広告代理店側が感じる、優秀なお客さんとはどのような人でしょうか。


yuuu:自分たちがもっていない知見をもっている人ですね。
後は、我々が考えたことややりたいことを、社内で調整して通してくれる人が優秀だと感じます。

 逆に優秀な広告マンはどのような人だと思いますか。


sym:こっちがお願いしたオリエンに対して、ストーリーにしてもってきてくれる人ですね。
こういった提案ができる人はあまり多くないように思います。

 また、こちら側が手の届かないところまでデータをひろってきてくれて、社内の提案を通しやすいようにサポートしてくれる人も優秀だと感じます。

事業会社のマーケティングでは、出てきたアイデアを判断する

yuuu:マーケターって、アイデアを出す仕事よりも判断をする仕事が多そうなイメージですが、いかがしょうか。


sym:そうですね。広告代理店との仕事だと、オリエンをして出てきたものを判断する仕事が多いですね。

よく勘違いされることとして、事業会社のマーケティングは具体的なアイデアそのものを考える機会が多いと思われがちですが、アイデアを出すのは代理店側であることが多いです。
事業会社はアイデアを考えて実行まで持っていくことはゼロではありませんが、あまり多くはありません。

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デジタルマーケティングが伸びてきている時代

sym:デジタルマーケティングが重要になってきていますが、電通ではどのように考えていますか。


yuuu:デジタルはほかの代理店より意識しています。一般的にデジタル領域が会社として弱いと思われています。
会社としても、WEB解析士の資格を推奨するなどして、デジタルに力を入れております。

話を聞く限り、デジタルの案件獲得には重きをおいています。
2億円の4マス(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)の案件をとるより、5000万円のデジタル案件獲得に力をいれるくらい必死です。

デジタルはどんどん伸びているので、デジタル市場におけるプレゼンスをあげるのに一生懸命ですね。


sym:最近だとベンチャー企業もテレビCMを打つから、そういったところも狙っているのでしょうか。


yuuu:ちょっと前までは、アプリ系の会社の出稿があったのですが、現在はそこまで伸びていません。ソーシャルゲームも一時期ほど出稿額が大きくはないです。

 後は、電通は新規のお客さんには、既存のクライアントよりも力を入れていないので、新興ベンチャーの出稿が伸びているわけではありません。

ただし、デジタルも電通だよねと言われるように変わろうとしているのは事実です。
悔しいことに、サイバーエージェントはデジタル分野では存在感があります。

事業会社は「デジタル」に対してどのように考えていますか。


sym:デジタルマーケティングっていう言葉自体に、大きな意味はないと思っています。
基本的には、デジタルだけやっていればよいというコミュニケーションは少ないです。

 デジタルはあくまでもマーケティングプランの一部で、手段です。
メディア戦略には、いまだにテレビも重要ですし、目的達成に一番有効であれば、デジタルという手段を利用するという考え方です。

デジタルのことだけ知っているというのは、いわゆるマーケターというよりも、私の考え方で言うと、デジタルマーケティングの専門職の人のことかなと思います。

まだまだ大きいテレビの影響力

yuuu:P&Gをはじめ外資の大手消費財メーカーがテレビに回帰していることからも、テレビの影響力は大きいですよね。
年齢の高い層はまだまだテレビを見ていますし。


sym:そうですね。
デジタルに関しては、大手代理店の人は力をいれようとしている割に、デジタルのことをわかっている人は若手でもかなり少ないですね。

事業会社側のマーケターも、広告代理店側もまだまだ勉強が必要だと思います。

マーケティングに関わりたい人に向けたメッセージ

-様々なお話ありがとうございます。それぞれの立場からマーケティングに関わりたい方へのメッセージはありますか。


yuuu:どの部署でも広告代理店は泥臭いです。入ってカルチャーショックをうけて辞めてしまう人はいます。


確かに一部のクリエイティブの部署は芸能人と知り合えるので、派手なのは事実です。

 しかしほとんどの広告代理店は板挟みになって、媒体社と広告主の双方の利益を最大化するよう努力して、それぞれから納得してお金をもらえるようにしています。

そういう泥臭いところをわかってほしいと考えています。

またtwitterでも話したんですが、広告代理店では、マーケティングだから偉い、クリエイティブだから偉いっていうのはないです。

 代理店ではしょうもないやつほど偉くしていますが、クリエイティブやマーケティングの人たちが能力を発揮できるように最前線でつぶれてくれているのが営業なので、彼らへのリスペクトがないと、チームとしてうまくいきません。

 広告代理店は仕事の幅も広げやすいですし、自分がこういうことやりたい、こういうインパクト与えたいと熱意もってやると、実現できます。
やりたいことをかなえてくれる環境でもあります。

 とある方は、企画書を何百枚も書き、そうした努力が認められて、企画の部署に引っ張ってもらえていました。
その方のプレゼンは新人のときに見たのですが、史上最高に良いプレゼンでした。

 努力をして手をあげたら、やりたいことをやらせてもらえる環境だと思います。


sym:基本的に、広告の仕事だけをしたいのであれば、広告代理店に行った方がよいと思います。

事業会社のマーケターにとっては、仕事の一部です。

マーケティングの仕事の醍醐味は、責任をもって、プロジェクトのリーダーとして、周りを巻き込んで仕事をすすめていくところにあります。

 リーダーシップを発揮する仕事をしたい人、また、自分でやったことを世の中に広げていきたいという人に向いていると思います。


-ありがとうございました。

編集後記:

いかがだっただろうか。3回にわたって、外資系メーカーと電通の現役社員による対談を実施した。

後編では、転職や新たなマーケティングの手段に対する考え方や、マーケティングに興味を持つ方へのメッセージを語っていただいた。
前編から通して、幅広い分野で議論が有意義にできた。代理店と事業会社のマーケティングの考え方に関する違い、またマーケティングの実際の仕事の進め方についてよく理解できたのではないだろうか。
電通をはじめ、広告代理店や外資メーカーは転職者を募集している。コンサル出身者をはじめ異業界から人を集めている。ビズリーチは異業界転職をはじめトップの会社への転職を支援している。

外資メーカーマーケでは転職エージェントとしてJACリクルートメントがおすすめだ。広告代理店ならマスメディアンは多くの案件がある。ビズリーチと併用しよう。
ビズリーチ・キャンパスでお二人ともOB訪問を受けているようなので、広告代理店や外資メーカーマーケ志望者で新卒で登録していない方はぜひ登録しよう。

今日は以上だ。