キャリア相談室

今起業して大丈夫?投資家から起業志向の若手に告ぐ、経営者になるための最適戦略

今日は、ベンチャー業界で高名な、多くの若手経営者のメンターをされているK氏に、起業に関するインタビューをさせていただいた。

K氏は、東大在学中に学生起業して以来、若手起業家や、ベンチャー企業のCXOのメンタリングを20年以上行なっている。
K氏の人柄、知見を慕う経営者の中には、非常に有名なマザーズ上場企業の創業者や、新進気鋭のフィンテックベンチャーのCXOも名を連ねている。

普段はメディアに出ないK氏自身の企業の経緯やアドバイスは、経営・起業志向の読者に有益なはずだ。特に、現在大手企業に勤務しており、起業を目指している方にはぜひ読んで欲しい。

経営者の孤独に寄り添う「メンター」という存在

−Kさんが行なっている「メンター」とは、経営者にとってどんな存在でしょうか?
経営者として本当に困った時こそ相談したいと思える存在でありたいと思っています。
頼りになるが、依存はしない関係ですね。会社でなく、経営者個人の「用心棒」と説明することもあります。

−基本的ですが、「メンタリング」と、「コンサルティング」や「コーチング」の違いは?
あくまで私の中での分類ですが、「コンサルティング」が提供する価値は、成果やソリューションへのアプローチです。「コーチング」は、経営者の価値観やメンタリティに強く働きかけるものです。
「メンタリング」は、成果やソリューションへのアプローチと、経営者の価値観やメンタリティの、両方に働きかけると思っています。
コンサルティングがタクシー、コーチングがガイドマップだとしたら、メンタリングはカーナビですかね。

−メンターとして特に意識していることは?
メンタリングする相手に寄り添うことです。
私は、メンター先の会社の株主や役員になる場合もありますが、全ての利害関係より、経営者に寄り添うことを優先しています。経営者は孤独です。株主や社員にはもちろん、家族にすら言えない苦悩を抱えることもあります。

例えば、「もう会社を辞めたい」と思っている経営者がいたとします。私が株主だからと、それを経営者が私に言えないとしたら、私はメンター失格だと思っています。
これは、投資家としてはダメでしょうね、一緒に投資をしているベンチャーキャピタリストの皆さん、ごめんなさい。(苦笑)


ファーストキャリアは「東大生起業家」、直後にITバブル崩壊

−ご自身のキャリアについてお話ください。
起業したきっかけは、東大在学中に、ビジネスイベントを立ち上げたことでした。

当時、東大生の就職の志望先は、官公庁、大手銀行、総合商社、新聞社。外資コンサルや投資銀行すら、家族に就職先と告げるのが恥ずかしいという時代でした。
「ベンチャー企業」といえば、アウトローの荒くれ者がやるものというイメージで、現在の「スタートアップ」のようなスマートな印象は皆無でした。私も起業志向はまったくありませんでした。

しかし、そのイベント後に、あるインキュベーション施設の運営に関わることになり、あれよあれよという間に話が進んで、気付いたら起業していました。起業といっても、一部上場企業が株の過半数を保有していたので、私の保有株式比率は50%未満。つまり、私のファーストキャリアは「一部上場企業の子会社の、学生社長」ということになりますね。

−世間一般的なキャリアで言う、「ゴール地点」からのスタートですね。
そうなのかもしれませんが、起業してからがとにかく大変で(苦笑)
ビジネスも経営も知らないど素人が集まって会社を立ち上げ、直後にITバブルが崩壊。さらに起業当時のビジネスモデルも破綻し・・・と、起業の昔話はこのぐらいにしますか。

経営者がメンターに求めるもの

−いつからメンターを始められたのでしょうか?
「メンター」という役割を意識するようになったのは、実はごく最近です。
私はいわゆる「熱血漢のベンチャー社長」的な性格ではありません。学生時代は、大手企業や官僚を目指す保守的な友人たちに囲まれていたので、コンサバな側面も持っています。

両面を持ち合わせているからこそ、若手ビジネスマンが「起業」という険しい山道を登る際のシェルパ(ガイド)役に、うってつけだったのだと思います。「起業」が身近になった現在の感覚だとピンとこないかもしれませんが、特に以前はなかなか起業する人はいませんでした。当時は起業に対するハードルが高かったんです。

−ご自身の経営体験をベースに、メンタリングをされているわけですか?
10代から70代まで、起業から廃業まで、さまざまな経営者の悩みに寄り添い、2,000人以上のビジネスプランを見てきました。自分の体験だけにとどまらない蓄積がありますね。
いわゆる「成功者」の方がメンターになると、自分の成功体験の後知恵バイアスがかかると思います。私は、成功も失敗も含め、自分の古い体験にこだわりすぎないように、今も再学習しています。最近は、ベンチャー企業の幹部候補や、2代目経営者など、起業家ではない方のメンタリングをさせてもらいながら、さまざまな実務もしています。

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経営者になりたいなら、起業はおすすめしない

−経営者を目指している20代、30代のビジネスパーソンに、起業を勧めますか?
私が言うのもなんですが、そういう動機での起業はお勧めしていません。

逆説的ですが、起業は、経営自体に興味がないぐらいの方が成功します。
「どうしても世に出したいサービスがある」とか、「単に儲かりそうだからやる」とか、「めんどくさい経営なんか、できれば誰かに任せたい」という考えの方が、起業に向いています。

また、私たちの世代では、仮に起業が成功しなくても、起業して苦労したこと自体が希少価値を生みました。ちょうど20年前、私が大学生の頃に、スタートアップの立ち上げから倒産までの顛末を赤裸々に描いた「社長失格」という本がベストセラーになりました。その本の著者の板倉雄一郎さんの元部下で、その後iモードの成功で有名になった夏野剛さんのようなキャリアが注目されはじめました。

それまでアウトローのイメージが強かった起業に、ビジネスキャリア上の経験としてステータスが認識されはじめたのがその頃で、2010年代に入って一般に広がっていったと思います。
それに伴って、良い内定先を貰えるような若い方の起業が増え、就活を前提にした学生時代の起業といった選択もでてきたことで、希少価値は今ではずいぶん下がっていると思います。

しかし、起業する人が巷にあふれている現在、起業すること自体に価値を見出す人は少ないでしょう。そうすると、大手企業を辞めて起業し、失敗するリスクをある程度考慮したほうがいいでしょう。

−起業して失敗するのは、どのようなケースが多いですか?
ドラマのような派手な失敗はあまりないです。それよりも、メンタルが苦しくなる起業家が多いですね。
経営者を目指す若者は、根底に「人のためになりたい」「世の中に貢献したい」という理想を持っている方が多いです。そういう若者が起業して一番辛いのは、「自分が世の中にそこまで必要とされていない」という現実に直面することです。

特に大手企業に勤めていると、取引先やパートナー企業からご機嫌をとってもらうことが多いですよね。それが会社の看板があるからこそだと気付かず、起業後に落差に直面すると、辛いです。

もし、「ビジネス経験として経営を体験したい」という目的で起業を考えているのであれば、大手企業をいきなり辞めずにサイドビジネスとして起業するだけで十分だと思います。
それでもどうしても起業したいという人は、止めはしません。もちろん応援しますよ。

最速で経営者を目指す、合理的な戦略2つ

−経営者を目指す20代、30代は、今の会社に残るのが合理的な戦略ですか?
いえ、社内で出世の階段を登って、数十年後に経営者を目指せ、などというつもりはありません。

しかし、起業というゼロイチのリスクを無理に取る必要も必ずしもないでしょう。
例えば、成功の道筋がある程度見えているスタートアップに、経営層として参画するのは、非常に合理的だと思います。

また、この10年間でスタートアップの経営環境が整ってきたのと同じように、これからは「事業承継」の環境が整備されていくでしょう。
事業承継とは、会社の経営を、後継者に引き継ぐことです。日本の社長の平均年齢は2017年の調査で61.45歳。後継者問題は、日本経済全体の課題です。どうしても経営者になりたい人は、すでにある企業の経営を引き継ぐ方が理にかなっています。

−経営経験のないビジネスパーソンが、歴史ある会社を経営するのは難しいのではないですか?
間違いなく、ゼロイチの立ち上げの方が難しいですよ。

欧米ではサーチファンドというスキームでMBAを取得した若者が投資家から企業買収の資金を調達し、買収後は社長として会社の価値を上げてイグジットすることで平均してベンチャー投資よりも高いリターンを出しています。

サーチファンドのモデルなら、イグジット後は新たなファンドで別の会社を買収することも、上手くいけば大きな成果報酬を得て自己資金と経験を武器に起業することもできます。

なによりも事業承継の良い点は、起業にありがちな、「自分は、思ったほど、社会から求められていない」という苦しさと無縁なことです。
転職先は、すでに存続している会社、つまり世の中に求められてきた会社です。しかも、現在の経営者やステークホルダーに求められて経営を引き継ぐのですから。

編集後記

いかがだっただろうか。経営者を目指している方は、今回K氏が勧めていたCXOや事業承継という選択肢を一考してみる価値はあるだろう。本当に自分にとって最適な選択肢が起業なのか転職なのか、一度転職エージェントと面談してみるのがよいだろう。

CXOとしての転職を検討したい場合、まずファーストチョイスとしては、王道のビズリーチをおすすめしたい。

また、現在コンサルティングファームで働いており、ベンチャーに経営層として転身を狙っている方は、コンサルの転職支援に強い アクシスコンサルティングを使ってほしい。
年収水準を維持、アップしたい方は、高年収の案件が多いキャリアカーバー も必見だ。

いずれにせよビズリーチ にまず登録してから、さまざまなアクションを起こそう。転職活動は、戦略的に進めた者勝ちである。明るい未来がくることを信じている。

今日は以上だ。

2019年11月の転職トレンド

企業は10月に下期の採用を終えて体制が整い、今の時期は求人情報としては凪の状況であるという向きもある。11月の採用決定者数は、数字としては低調になっているのが事実だ。

転職希望者も、上半期末や下半期初の繁忙期を終えて一息つき、転職活動をなかなか始めない。実際に、転職メディアの閲覧数は、11月は決して多くない。

だからこそ、実は、11月に転職活動を休む、年末年始休みまで転職活動を始めなくていい、というのは誤りだ。管理職や、チャレンジングなポジションの転職を望む人がいれば、少なくとも情報収集は、確実に11月から開始したほうがいい。

日本の企業の多くは3月決算だが、上期の業績の着地結果が固まるのは今、11月の始めである。企業側では、業績の着地結果を踏まえて事業計画を修正し、下期の業績達成に向けて動き出していく。

業績を達成するため、欠員を急いで補充するケースもあるが、逆に、チャレンジが必要なプロジェクトで、クリティカルに必要な人を採用するので、重要な求人ポストの募集が意外と始まる時期なのが11月だ。

中途入社は4月がピークだが、重要なポジションは採用決定まで時間がかかる。重要なポジションを4月に確実に充足させるため、先行して、とりわけ非公開ポジションの募集を始める会社も多い。 重要なポジションは数も少ないので早い者勝ちだ。あっという間にクローズするので、多くの転職希望者が気付かない間に、募集が終わっていくのである。

→ビズリーチなどの転職サイトにまずは登録し、経験豊富なプロのエージェントに、非公開ポジションの情報を、直接ヒアリングすることをおすすめする。

11月のトレンドは、以上だ。

筆者のお勧め転職サービス

1位 ビズリーチ キャリアアップを考えるのであれば、まずは必ず登録すべき転職サイトだ。大手企業の特別求人やベンチャー企業の幹部求人などが多く掲載されており、求人の質が段違いに良い。また、多くのヘッドハンターやキャリアコンサルタントが登録しており、スカウトメッセージが届くこともある。自分の市場価値を知ることに繋がるので、直近での転職を検討していない方も登録すると良い。

2位 JACリクルートメント ハイキャリアに特化した転職エージェントであり、年収アップに繋がる転職支援に定評がある。年収が500万円以上の方や、その給与帯を目指したい方は登録すべきだろう。特に、年収1000万円前後の転職では日本有数の実績を有している。まずは、レジュメを登録し、キャリアコンサルタントとの面談に参加してほしい。
また、JACリクルートメントに相談した人へのインタビューは→こちら

3位 リクルートエージェント 日本一の実績を有する転職エージェントである。案件数が多いので、市場の情報を網羅的に収集することができる。また、キャリアコンサルタントへの教育が行き届いているため、どのキャリアコンサルタントが担当になっても、安定して質の高い支援を受けることができる。特に、若手でこれから実績を積んでキャリアアップしたい方は、必ずキャリアコンサルタントとの面談に参加すべきだ。

4位 アクシスコンサルティング お勧め度は4位としたが、コンサルティングファームに転職したい方には、一番お勧めしている転職エージェントだ。コンサルティングファームへの転職では日本有数の実績を有しており、主要なファームのほとんどと取引している。特に、事業会社に在籍するコンサル未経験者の支援には定評がある。どのファームでどのような選考が行われ、どうすれば合格できるかを熟知しているので、コンサルティングファームへの転職を視野に入れている方は面談に参加すると良いだろう。

5位 パソナキャリア 日本有数のHR企業であるパソナの転職支援サービスだ。丁寧な候補者支援に強みを有しており、候補者の性格や気持ちを理解しながら、ホスピタリティの高い転職支援を行ってくれることだろう。案件数はリクルートエージェントよりやや少ないが、仕事が丁寧で、自分に合った求人を丁寧に紹介してもらうことができる。他のエージェントの面談に参加し、違和感を感じた方には特にお勧めできるエージェントだ。